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15分文学

15分間で書いたテキストを投稿しています。

旅と文章についてのテキスト

結局のところなんか明るくて楽しくてイェーイってなってる記事しか求められていない。でもわたし基本ネガティブだし、そういう記事書くの本当向いてない。「旅っていいですよね」とか言われても、別にわたし旅とか好きじゃないし。いろんなとこに行くのは暇…

ある日の午後についてのテキスト

晴れた日、道を歩いた。家の前に延びるアスファルトの細い道で、道端には木々が植えられている。梅の木だ。今は梅の季節ではないため、枝には青々とした葉をつけている。その葉の隙間から太陽の光がこぼれ、わたしの目を細める。遠くに小鳥のさえずりが聞こ…

見た目

人間の目と肌の色が簡単しかも低価格で変えられるのは今では当たり前のことだけど、母から聞くところによると、つい4、50年ほど前までは、そのような技術は存在しなかったのだそうだ。「カラコンなら、昔はわたしも付けてたんだけどね」と母は言った。わたし…

GW

毎年春は、札幌で過ごすことにしている。3年連続で訪れているので、そろそろ、そう言ってもいいのではないかと思っている。 札幌では特に何もしない。友人がやっている小さなゲストハウスの手伝いをする代わりに、スタッフルームに寝泊まりをさせてもらって…

もう一度会いたいと思ったが、ついぞその姿を見ることはなかった。島で出会った女の話だ。 固い緑の葉をつける照葉樹がたくさん茂る小さな島で、白浜からの照り返しがわたしの肌をジリジリと焼いた。コバルトブルーの海は底まで透き通り、見たこともないよう…

断捨離

恋人がいなくなって、一週間が経った。「もう生きてる理由がない!」と、歓楽街のど真ん中で突然叫んで走り出すようなトリッキーな恋人だったので、心配こそすれど、さして驚きはしなかった。驚かなかった自分には少々驚いた。 それにしても、本当にいなくな…

神道

頭の中には竹藪が広がっていて、その中心のぽっかりと空いたところに、小さな神社が建っている。神社というよりはお社そのものだ。杉か檜と思われる白木の木造で、自分の背丈よりほんの少し高い程度の小さなお社なのだった。お社の前には砂利が敷かれた参道…

フェリー

人生で3度、船旅をしたことがある。1度目は舞鶴から小樽へ、2度目は那覇から名古屋へ、3度目は大阪から那覇へ。 どの船旅も、例外なく貧乏だった。3度目の懐具合はとくに酷く、乗船日程が2泊3日あるにも関わらず、船内の自動販売機でカップラーメンの1つも買…

勉強

夜、自分の部屋で無為に過ごすとき、勉強してこなかったツケが回ってきたのだと感じることがある。 学生時代から勉強が嫌いだった。できるできないというよりは、無駄だと思っていた。エピソードとして印象深いのは、高校2年の初夏に行われた数学の期末テス…

携帯

携帯電話を持たない主義思想に憧れつつもiPhoneユーザーになって早4年。わたしの世代は高校生あたりで皆PHSやらガラケー(もちろん当時はそういった言い方はしなかったが)を持つようになったが、例に漏れずわたしもその流れに乗ったため、iPhone以前にも10年…

給料日

25日まであと2日!それはつまり、あと2回寝て2回起きたら、ついにわたしにも人生初の給料日が訪れるということ。 古い映画館やカラオケパブ、よくわからない事務所なんかがひしめく5階建ての雑居ビル、その1階の隅っこで、わたしは1ヶ月間、部活にも行かずに…

ピアノ

家からそう遠くないところに、一軒の古い喫茶店がある。その喫茶店から、夜になるとピアノの音が聞こえてくることに気がついたのは、つい数日前のことだった。そして今日も。エリック・サティのジムノペディ第1番。あまりにも有名なその曲を、わたしも何度か…

よしもとばななの小説についての読書感想文

んなことあるかい、というのが読後の感想。沖縄に来たからといってすべてが救いの方向を示すというのは、いささか過剰なように思う。それはわたしが長らく沖縄に住んでいたからであって、自身に小説のような経験がなかったから共感できない、ということが感…

ある空間についてのテキスト

ストーブの熱を感じる。それは灯油を入れるタイプの古いストーブで、その傍で、わたしは体育座りで寄り添うように暖をとっている。こっち来なよ、とは言われない。わたしの斜め後ろにいるあの男からは。視線すら感じない。ただ、ストーブの上に置かれたやか…

食事についてのテキスト

その食堂には、メニューというものがなかった。木板の床に直置きされた黒板には、「和食」「洋食」とだけ書かれてある。そこへ行くのは初めてのことだったが、その大雑把なもてなしには親近感を覚えた。 「じゃあ和食で」と、わたしはつぶやくように伝えた。…

拒否

思えば、たくさんのことを受け入れ続けてきた。桜が舞えばその美しさを讃え、人の手料理をおいしそうに頬張り、本を読んでは涙を流した。そして今、テーブルに出されたクリームシチューを白飯を前にして、気付いてしまう。いったい、そのどこまでが本心だっ…