15分文学

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ある日の午後についてのテキスト

晴れた日、道を歩いた。家の前に延びるアスファルトの細い道で、道端には木々が植えられている。梅の木だ。今は梅の季節ではないため、枝には青々とした葉をつけている。その葉の隙間から太陽の光がこぼれ、わたしの目を細める。遠くに小鳥のさえずりが聞こえる。わたしは歩いて3分ほど先にある卵屋に向かっている。

卵屋とは、その名の通り卵を売っている店だ。店では、破卵と呼ばれる、小さな傷がついた卵を安く買うことができる。破卵という言葉を知るようになったのはこの家に越してからのことだった。大人になっても知らないこと、学ぶべきことがたくさんあるのだ。わたしはそのことに喜びを感じる。

いくつになっても、悩み事は尽きない。同じような過ちを繰り返し、同じようなことで喜び、また同じような過ちを繰り返す。卵屋は倉庫のような店構えで、中は薄暗くひんやりとしている。卵は15個130円。買った卵を厚紙のトレイにころころと入れ、胸の前に抱えてそっと足を運ぶ。壊れやすいものは、大切にしなければならない。そんな当たり前のことを、わたしはもっと学ばなければならない。

家の玄関先に卵を置き、しかし、スニーカーを脱ぐのを億劫に思った。外は変わらず天気がいい。雲ひとつない。もう少し歩きたくなった。何かをしたいと思ったのが、とても久しぶりのことのような気がした。

晴れた日、道を歩いた。行き先は分からないが、道を歩いた。

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テーマを決めずになんとなく書き出した

2017.5.18