15分文学

15分間で書いたテキストを投稿しています。

2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

私の沼

ずぶずぶと、沼にはまっている。起きたら極彩色のジャングルのような森にいて、服を着たまま腰ほどの位置まで沼にはまっている。 抜け出そうとあがいてから、どれくらいの時間が経っただろう?しかし、一向に抜け出すことができていない。いや、もしかすると…

ムヒ

ムヒとは日本国民の大半が知っているであろう塗り薬で、効能はかゆみ止め。おもに蚊に刺されたときに使われる。あのひんやりとした使用感はとても気持ちがいいし、実際のところ、かゆみは塗ってすぐに消えていく。蚊に刺されやすい(とされる)O型人間にとっ…

旅と文章についてのテキスト

結局のところなんか明るくて楽しくてイェーイってなってる記事しか求められていない。でもわたし基本ネガティブだし、そういう記事書くの本当向いてない。「旅っていいですよね」とか言われても、別にわたし旅とか好きじゃないし。いろんなとこに行くのは暇…

ある日の午後についてのテキスト

晴れた日、道を歩いた。家の前に延びるアスファルトの細い道で、道端には木々が植えられている。梅の木だ。今は梅の季節ではないため、枝には青々とした葉をつけている。その葉の隙間から太陽の光がこぼれ、わたしの目を細める。遠くに小鳥のさえずりが聞こ…

見た目

人間の目と肌の色が簡単しかも低価格で変えられるのは今では当たり前のことだけど、母から聞くところによると、つい4、50年ほど前までは、そのような技術は存在しなかったのだそうだ。「カラコンなら、昔はわたしも付けてたんだけどね」と母は言った。わたし…

GW

毎年春は、札幌で過ごすことにしている。3年連続で訪れているので、そろそろ、そう言ってもいいのではないかと思っている。 札幌では特に何もしない。友人がやっている小さなゲストハウスの手伝いをする代わりに、スタッフルームに寝泊まりをさせてもらって…

もう一度会いたいと思ったが、ついぞその姿を見ることはなかった。島で出会った女の話だ。 固い緑の葉をつける照葉樹がたくさん茂る小さな島で、白浜からの照り返しがわたしの肌をジリジリと焼いた。コバルトブルーの海は底まで透き通り、見たこともないよう…

断捨離

恋人がいなくなって、一週間が経った。「もう生きてる理由がない!」と、歓楽街のど真ん中で突然叫んで走り出すようなトリッキーな恋人だったので、心配こそすれど、さして驚きはしなかった。驚かなかった自分には少々驚いた。 それにしても、本当にいなくな…