ムヒ
ムヒとは日本国民の大半が知っているであろう塗り薬で、効能はかゆみ止め。おもに蚊に刺されたときに使われる。あのひんやりとした使用感はとても気持ちがいいし、実際のところ、かゆみは塗ってすぐに消えていく。蚊に刺されやすい(とされる)O型人間にとっては、もはや手放せないほどに便利な薬である。
そんなムヒは、いわゆる対症療法薬であって、治癒力そのものを上げるような原因療法薬ではない。かゆくなったらペペッと塗って、はいおしまい。どんなにムヒを塗ったところで「蚊に刺されない身体」や「蚊に刺されてもかゆみを感じない身体」は手に入らない。蚊に刺されるたびにムヒを塗らなくてはならない。何度も何度も同じことの繰り返し。
けれど、わたしはこれからもムヒを塗り続けるだろう。なぜならば、どうすれば蚊に刺されなくなるのか、今のところ原因療法がさっぱりわからないからだ。その方法がわかったら、そのために努力しよう。けれど、わからないうちはムヒを塗ろう。そうやって、騙し騙しでもかゆみを凌いでいくことができればいいよね。そのうちもしかすると、蚊に刺されなくなる画期的な方法が見つかるかもしれないし。心の痛みもこれに同じ。
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テーマ「ムヒ」
2017.5.29